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その後、一風呂浴びてチェックアウトするときご主人に話しかけられる。
『へぇ〜、バンドやってるんだ。』
今回の旅行は、彼女が以前使っていたギターを車に積んで持ってきており、
昨晩は結局使わなかったが、部屋に運んだのだった。
まあ、ベイダーが閃いて新曲ができるかもしれないということで。
時間があるので少し立ち話してると、
『ちょっとまって』と云い、ご主人はおもむろにギターを持ってきた!!
ギブソンはあまり使って無いようだが、
フェンダーはかなり使用感がある。あまりギターは詳しくないが、
結構な値段だということは何となく分かる。
他、ハードケースに入ったピカピカのギブソンなども。
このおっさん、一体何者なんだ?
話を聞くと、以前音楽でメシを食っていた時代があったとか。
あまり深い話はしなかったが、恐らくスタジオミュージシャンではなく、
バンドかソロだろう。
『楽しむ分にはいいけど、音楽でやってこうなんて思わない方がいいよ』
『・・・なんというか、一度有名になると"おごり"みたいな物がでてしまってさ…』
朝っぱらからヘビーな話だぜ。
心に染みる言葉だ…。
しかし、音楽で潰れた野郎共なんて山ほど見てきた中、
今はいい雰囲気の宿を切り盛りしているのだから、
それはそれでしっかりしてらっしゃる。
いいじゃないですか!!
他、宿の話、旅の話などで盛り上がる。
『折角の旅なんだし、ガイドブックに載ってない場所へ行こう!
鋸山(近くにある観光地)なんか行っても仕方ない!』
などとアドバイスを受け、お勧めのコースを教えてもらう。
そんな訳でチェックアウト。
近い割に落ち着ける宿だった。