そんなこんなでこの辺でいく所なんて、有るようで無いんですよ。
何処に行ってもやってないんですよ・・・
気がつくと我々は19号を戻り、例のプレハブ小屋の前にいる。

昨日は暗くて良く分からなかったが、近くで見れば見るほど怪しさ満点だぜ・・



部屋の中を外から一瞥すると、あやし〜ポスターがベタベタと張っている。
ベイダーは正面から写真を撮っている。
入り口を見ると、"準備中"との札が。
さて・・どうしたものか。
帰ろうかと思った瞬間、入り口のドアが微かに開き、ばあさんが俺たちを怪訝そうに見ている!!!
目が合っちまったぜ。
するとばあさんは"準備中"の札を裏返し、店は"営業中"に変わった。
RPGで行けなかった洞窟や城に入れるイベントみたいだぜ・・・
つまり、ここに入らない限り先には進めないのである。
じゃあ、入りますか・・・・


店内は急な客に支度が間に合わなかったのか、テーブルの上に食い終わったみかんの
皮が山積みになっている。よーく見ると、かなり古そうな物もあるので、
これが標準らしい。


店一面に怪し〜イラストが飾ってある。
天井に至っては、無数の剥がした後が残る。

これは何なんだ!!


注文した後、店のばーさんが気さくに話しかけて来る。
「この辺りは何もないから、パチンコくらいしか娯楽が無いのよ」
「でも、やっぱりパチンコにはまっちゃうとねぇ・・XXXのおばさんなんかは・・」
とまあ話が続く訳である。


カレーが出てくると次はコックのじーさんの出番だ。
「お兄ちゃん達、何処から来たんだい」
・・
「そうか。東京か・・俺も昔はなぁ・・」
話を掻い摘むとこうだ。

25歳の時に料理の学校に通い、始は同期が若い連中ばかりで、
歳のせいで苦労もしたけれど、30位で同じ歳の連中と同じ位のキャリアになった。

その後の人生は、今朝桟温泉で聞いた話を参考に。


「それにしてもよー。こう緑が多い田舎だと、木を見ても全く癒されん。みの☆★たが云ってたけどな」
「人のの云う事なんて信じちゃいけねーな」
と云いつつ、
「この大豆カレーはXXにいいらしいから作ったんだ。テレビで見た」
と、テレビを信じてるんだかそうでは無いのだか良く分からん。


その他、天井に張ってある謎の暗号文についての講釈、
俺たちが泊まった宿のおっさんに関する話、
一見(いちげん)の読みを先日初めて知ったと云う話、
シェークスピアの詩について、天井の絵にまつわる話、

とまあネタが尽きないのである。
「俺はなぁ、今はこうして金もないけどな。これは貧乏人のコックの役を演じていて、人生は演劇みたいなものだと考えるようにしているんだ・・・だけど、誰が脚本書いてるか分かんねーんだよなぁ」
変なじーさんだぜ。


何かの話の弾みで、昨日車がスピンして死にそうになった話をした。
確かにスタットレスだと聞いて借りた車だと。
じーさんは云うのだ。
「やっぱり、人の云う事なんて信じちゃいけねーな」


うん。いろいろとご馳走様でした。
また近くに行ったら、遊びに行くよ、じーさん、ばーさん。その時までお元気で!!